DualSenseの充電速度をUSBテスターで検証する

PlayStation 5用ワイヤレスコントローラー“DualSense"はUSB端子がType-Cとなりましたが、ケーブルや充電器による充電時間の違いはあるのか?という点が気になったので検証してみました。

条件は電源オフかつバッテリー0%のDualSenseへの給電が停止するまでの時間を計測します。

PlayStation 5 USB Standard-A端子

PS5の前面にあるUSBポートに付属品のUSBケーブルを接続します。
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:電圧 :電流 :積算電力

充電開始直後の0.82Aから徐々に0.88A付近まで上昇し、1時間36分から出力が低下し始めて2時間19分で0.09Aとなり充電がほぼ停止しました。
電圧は5.26-5.36Vと電流値の低下に沿って上昇しています。


結果:2時間19分


PlayStation 5 USB Type-C端子

PS5の前面にあるUSB Type-CポートにC to Cケーブルを接続します。
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:電圧 :電流 :積算電力

こちらは0.85Aから徐々に上昇し、0.93Aまで上昇したのち1時間37分から出力が低下し始めて2時間19分で0.09Aとなり充電がほぼ停止しました。
電圧は5.12-5.34Vと電流値の低下に沿って上昇しています。


結果:2時間19分



PS5はStandard-AとType-Cで充電時間に差は無いという結果になりました。



ここからはUSB ACアダプタでの充電時間を計測します。
使用する製品はUSB規格準拠や電圧の安定性などを考慮してSamsung製を用意しました。

USB PD対応充電器 USB Type-C端子

USB PD3.0対応のSamsung EP-TA800にC to Cケーブルを接続します。
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:電圧 :電流 :積算電力

0.50Aから0.56A付近へと上昇して、3時間5分から出力が低下し、3時間39分で0.09Aとなり充電がほぼ停止しました。
電圧は4.97-5.04Vの間で推移しています。


結果:3時間39分


USB充電器 Standard-A端子

最大出力2AのSamsung EP-TA200にA to Cケーブルを接続します。
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:電圧 :電流 :積算電力

0.49Aから0.55A付近へと上昇して、3時間6分から出力が低下し、3時間41分で0.09Aとなり充電がほぼ停止しました。
電圧は4.93-5.00Vの間で推移しています。


結果:3時間41分


こちらもType-Cとほぼ同じような結果となりました。


念の為他社製の充電器でも計測してみましたが似たような結果でした。

検証結果

DualSenseの充電時間は

・PS5に繋いだ場合 2時間19分
・USB充電器に繋いだ場合 3時間39~41分

となりました。

PS5に繋いだほうが1時間以上も早く充電できるということに。

何故USB充電器だと遅くなる?

こうなると何故充電時間に差が出るのかが疑問となってきます。

出力がそれぞれ0.9Aと0.5Aであり、これがUSB3.xとUSB2.0の標準供給電力(Default USB Power)と同じであるため、当初はその違いを疑ったのですが、そもそもPS5の前面Standard-AポートはUSB2.0であり、DualSenseのType-C端子もUSB2.0ではないかと思われるのでおそらく間違いでしょう。また、USB3.1であるType-CポートにUSB2.0ケーブルを使って接続した場合でも0.9Aが供給されいました。


そのため現状の予想としては、DualSenseにはPS5に接続した場合のみ急速充電が可能となるロジックが用意されているという可能性が考えられます。



ちなみに、USB3.1 Gen.2ケーブルを使ってPCのUSB3.1ポートに接続した場合には0.27A程度の出力になってしまいます。
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PCやそれに準ずるデバイスでは充電速度が下がってしまうようです。

まとめ

DualSenseはPS5に直接繋いだほうが充電が速いという結果となりました。
とはいえUSB充電器では極端に遅い訳ではなく、手元近くに充電ポートを用意できるというメリットもあるので、充電速度との兼ね合いでどのように充電するのかを選んでみてはいかがでしょうか。

Galaxyの超急速充電とは

Note10以降の一部Galaxyスマートフォンでは“超急速充電”という機能が利用できるのをご存知でしょうか。

従来の急速充電では最大15Wだった出力が、超急速充電では最大45Wとなり充電時間を短縮させることが可能になっています。

今回はその超急速充電の概要と方法をまとめていきたいと思います。

目次

概要

Galaxyの超急速充電とは、Galaxy Note10シリーズ以降の一部Galaxyスマートフォンで対応している急速充電機能です。
それ以前のGalaxyスマートフォンもQuick Charge 2.0、Samsung AFC、USB Power Delivery 2.0といった規格での急速充電には対応していましたが、それらは最大15Wだったところ、超急速充電では最大45Wとなり、充電時間の短縮が可能になりました。

この超急速充電に利用される充電規格はSuper Fast Chargingと呼ばれ、最大出力ごとに


45W
Super Fast Charging 2.0

25W
Super Fast Charging


の2つに分けられています。

実はこのSuper Fast ChargingはSamsungが独自に呼称している名称で、内容としては標準規格であるUSB Power Delivery 3.0(USB PD 3.0)とそのオプション規格であるProgrammable Power Supply(PPS)そのものであるため、その規格に対応しているサードパーティ製充電器でもこの超急速充電を利用できるというのがポイントです。

超急速充電対応の充電器の選び方

Galaxyの超急速充電にはPPSに対応した充電器が必要ですが、出力については単純に25Wや45W以上あればいいという訳ではありません。
この項では超急速充電が可能な充電器の見分け方について説明していきます。

PPSでは電圧・電流を100mV,50mA刻みで細かく制御していますが、その制御できる範囲は充電器によって異なります。
まず電圧はGalaxyでは9V付近を利用するため、充電器の出力も9V付近をカバーできる必要があります。
電流については45W充電の場合5.00A、25W充電の場合2.75A以上が必要となります。

つまり充電器のスペックとして最低限必要になるのが

45W充電の場合
3.3-11V / 5.00A

25W充電の場合
3.3-11V / 2.75A

といったものになります。


実際の製品のスペックを例に見分けてみましょう。


Anker Nano II 45W

この製品の出力は以下のようになっています。

PPS出力: 3.3V-16.0V=3.0A / 3.3V-21.0V=2.25A (最大45W)

充電器の最大出力は45Wですが、PPSの出力は最大3.0Aとなっているため、Galaxyでは25W充電は可能ですが45W充電は不可能となります。


Anker 313 Charger (Ace, 45W)

この製品の出力は以下のようになっています。

PPS: 3.3V-11V⎓5A /3.3V-16V⎓3A /3.3V-21V⎓2.25A (MAX45W)

PPSの出力が5Aとなっているため、Galaxyでの25W充電・45W充電ともに可能となっています。


このように、Galaxyの超急速充電対応充電器を選ぶ際は45Wや65Wといった出力ではなく、PPSの出力を見る必要があります。


現在持っている充電器が対応しているのかは、製品の表記で確認する事ができますが、ごく最近の充電器の場合はPPSの表記が無くとも対応している場合があります。

この場合はまず設定の

バッテリーとデバイスケア → バッテリー → その他のバッテリー設定

から超急速充電が有効になっていることを確認し、

実際に充電器に接続して端末に青色の充電開始グラフィックが表示され稲妻2つのマークが表示されていれば基本的には超急速充電に対応しています。

左:急速充電 右:超急速充電

ただし45W充電についてはSuper Fast Charging 2.0(超急速充電2.0)と表示されていても45Wは出力されていない場合があり、そういった場合はUSBテスターなどで検証する必要があります。



利用できるケーブル

超急速充電に対応するUSBケーブルも25W充電と45W充電で条件が異なります。

45W充電対応ケーブルの要件

  • 両端がUSB Type-C
  • 5A対応

25W充電対応ケーブルの要件

  • 両端がUSB Type-C


まず前提としてUSB PDを利用しているので両端のコネクタはUSB Type-Cでなくてはなりません。
USBの規格上は両端がType-Cであれば全てのケーブルが最低限20V 3AまでのUSB PDは動作するように設計されているため、USB PD対応を謳っているケーブルでなくても利用は可能です。

USB Type-Cケーブルでは電力供給について、基本的に3A対応と5A対応の2種類のケーブルが存在します。45W充電については前述の通り最大5Aを出力するため、5A対応のケーブルが必要となります。

USB PDのオプション規格であるPPSについてはケーブル側の対応は必要ないため、PPS対応を謳っているケーブルでなくとも問題なく動作します。

充電速度

25W充電対応のGalaxy S20+で急速充電と超急速充電の充電速度を比較します。

超急速充電

30分 53%
60分 90%
74分 100%

充電器:Baseus BS-S915

急速充電

30分 36%
60分 71%
94分 100%

充電器:Anker PowerPort I PD

経過としては最初の30分での差が大きく、それ以降はそれほど大きな違いは出ていません。


それぞれの充電開始時の出力はこのようになっています。

左:急速充電 右:超急速充電

充電時の出力グラフなど細かい内容については過去記事を参照ください。
kurokamina.hatenablog.com

対応機種

Super Fast Charging 2.0 (45W)

Galaxy Note10+
Galaxy S20 Ultra
Galaxy Tab S7
Galaxy Tab S7+
Galaxy Tab S8+
Galaxy Tab S8 Ultra
Galaxy S22+
Galaxy S22 Ultra
Galaxy S23 Ultra

Super Fast Charging (25W)

Galaxy S10 5G
Galaxy Note10
Galaxy A71
Galaxy S20
Galaxy S20+
Galaxy S20 Fan Edition
Galaxy Note20
Galaxy Note20 Ultra
Galaxy Z Fold2
Galaxy S21
Galaxy S21+
Galaxy S21 Ultra
Galaxy A52
Galaxy Z Fold3
Galaxy S21 FE
Galaxy Tab S8
Galaxy S22
Galaxy M23
Galaxy A53
Galaxy Z Fold4
Galaxy Z Flip4
Galaxy A54
Galaxy S23

対応充電器

この項ではスペック上Galaxyの超急速充電に対応しているおすすめな充電器を紹介します。

45W充電対応

Samsung 45W USB-C Power Adapter EP-T4510XBJGJP

絶対的な安心感のある純正充電器です。
少しお高いですが5A対応ケーブルも付属します。

Anker PowerPort III 2-Port 100W

Ankerの出力100W 2ポートの充電器。
2ポート利用時には45W充電は不可で、出力の大きい上部ポート側にノートPC等を繋ぐと、下部ポート側では25W充電も不可になる出力の分配はちょっと不満。

25W充電対応

Anker 511 Charger (Nano 3, 30W)

超コンパクトを謳う約36 x 29 x 29 mmで出力30Wの充電器で、プラグの折り畳みも可能なので持ち運ぶにも便利です。
私も外出時用に使っており、Galaxy用としてはかなりおすすめですが、価格が若干高めなのがネック。

Anker PowerPort III 25W

コンパクトさではNano II 30Wに譲りますが、安価でプラグも折り畳めるので使いやすい製品です。
私も外出時に持ち歩く用途で使っています。

Anker PowerCore 10000 PD Redux 25W

Anker初のPPS対応モバイルバッテリー。出力25Wながら大きさ約 107 x 52 x 27 mm 重さ約 194 gと非常にコンパクト。Galaxy向けモバブの定番になりそう。

Google 30W USB-C 充電器

USB Type-Cの規格遵守という面では絶対的な安心感があるのがGoogleの充電器です。機能的にこれといった特徴はありませんが、品質を考えると選ぶ価値は大いにアリ。

Belkin BoostCharge USB-C® PD 3.0 PPSウォールチャージャー30W

Belkinの30W充電器。薄型でプラグ折りたたみも可能。この価格でBelkinブランドなのでとりあえず買うならこれがオススメです。私も買いました。

Belkin BoostCharge Pro PPS 60W USB-C®ウォールチャージャー

各ポートの出力が30Wずつで独立しており、接続するポートや機器によらずGalaxyの超急速充電が利用できるのが便利な2ポート充電器です。

CIO SMART COBY Pro CABLE C

着脱も可能な内蔵ケーブルを搭載するCIOの10,000mAhモバイルバッテリー。
持ち歩きにはかなり便利。




海外では以前より純正の25W充電器も販売されており、25W対応機種が多くなってきた昨今では日本での販売も期待したいところ。
個人的にアメリカから取り寄せましたが使いやすいです。

まとめ

Galaxyの超急速充電はPPSを利用することでデバイスに優しく、かつ高速に充電が可能となっています。標準的な充電規格を採用しているためサードパーティの充電器でも比較的利用しやすいので、自分に合った充電器を探してみてはいかがでしょうか。

Chromecast with Google TVでUSB-Cハブを使う

目次

はじめに

Chromecast with Google TVは今までのChromecastからハード・ソフトともに大きな変化を遂げましたが、その中で給電端子もMicroUSBからUSB Type-Cに変更となりました。
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この変更によって物理的にはUSB Type-Cハブが接続できるようになるという事で、早速購入して試してみました。

※記事内で紹介されている製品はChromecast with Google TVでの動作を保証するものではありません


接続するもの

今回用意したUSB Type-CハブはUGREENの製品です。
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元々スマホ用に使っていた物なのですが、今回常時接続する給電用USB Type-C端子とLAN端子がハブのケーブルと一直線になる位置にあるので、ケーブルを繋げた時にスマートですし、端子への負担も少ないかなと思ったのでチョイスしました。

USB Type-C端子、LAN端子のほか、USB端子x3とSD/TFカードリーダー、今回は関係ありませんがHDMI端子もあり拡張性が高いのでオススメです。


これをChromecastと付属の充電器・ケーブルの間に接続します。


動作

その状態で起動は問題なくできたので、実際にハブとしての機能が利用できるのかを確認していきます。

有線LAN

設定画面を確認するとネットワークとインターネットという項目が、無線LAN接続時のSSIDから「イーサネット接続」と変化しており、有線での接続が行われているのが確認できます。
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USBメモリ・SDカード

File Managerを利用してUSBメモリに保存したファイルを確認できました。
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ただし、このアプリではJPEGファイルを表示できないので、別のアプリを用意する必要があるようです。

また、USBメモリ等をChromecastのストレージを拡張するために利用することもできます。
設定の「ストレージ」からデータを消去してバイスストレージとしてフォーマットを選択することで、様々なデータをUSBメモリに保存することが可能です。
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一部のアプリはアプリ本体をデバイスストレージへ移動することも可能です。
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microSDカードでも利用できるので、USBポートの空きなどを考慮してどちらを使うか選ぶこともできます。

キーボード

USB接続のキーボードを繋いだだけで普通に使えました。
リモコンでは文字入力しづらいので、あると便利かもしれませんね。

マウス

USB接続のワイヤレスマウスを繋いだら認識されポインターも表示されました。
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ただクリックが反応しない箇所が多々あるので、対応しているアプリ内で使用するのが基本になるかと思います。
進む/戻るボタンは使用可能でした。


とりあえず試したのは以上です。


消費電力

USB Type-Cハブの中には消費電力や給電の仕様などによってChromecastでは動作しないものがあるようです。

Chromecast with Google TVに付属するACアダプタは1.5Aの出力があります。
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ハブ未接続状態で起動時の最大消費電力は2.8W(0.56A)付近でした。
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これがハブを繋いで有線LAN接続をした状態での起動時は3.7W(0.74A)付近となりました。
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このUGREENのハブでは消費電力としては付属のACアダプタでも余裕があるようです。

ただ、ハブ自体の消費電力が大きいものや、一定の出力をハブの動作のために確保して残りの電力をデバイス側に供給する仕様の場合などには電力不足で使用できない場合があります。


この場合、より出力の大きいACアダプタを利用することになりますが、USB Type-Cの規格上Chromecastに付属するようなA to Cケーブルを接続した場合、Type-Cデバイス側(今回はハブやChromecast)はUSB BCという給電規格に則りACアダプタ側に1.5A超の出力を要求しないことになっています。

そのため一般的なUSB ACアダプタでは2.4Aなどの出力のあるものでも、少なくともUSBハブが規格に準拠している以上は1.5Aまでしか使えないはずです。

その解決法として、USB Type-CポートのあるACアダプタにC to Cケーブルで繋ぐことで、最大3AまでのUSB Type-C Current@3.0Aという給電規格を利用することができます。


もしハブを接続してChromecastが電力不足の警告を出した場合には

  • Type-Cポートがあり5V/3Aの出力があるUSB充電器
  • 両端がType-CコネクタのUSBケーブル

という組み合わせとすることで使用できる可能性があります。


ちなみに私はAnker PowerPort Strip PD 6という充電用USBポートのある電源タップを使用しています。テレビ周りの電源ケーブルはこれ1つにまとめられて結構便利ですよ。

コンセント3口、2口のタイプもあります。


まとめ

ChromecastがUSB Type-Cとなったことで様々な機器を繋げられることが分かりましたが、それをどれだけ活用できるかはアプリの展開次第といったところでしょうか。

ただ、現時点でも有線LANによる接続の安定化はストリーミングデバイスでは有用ですし、メモリーカードに保存した写真をテレビの大画面に表示したりと使い方の幅が広がるので、USB-Cハブを繋げてみるのも面白いですね。

Galaxyの45W充電の話

45W充電は難しい

目次

はじめに

Galaxy Note10+から一部のGalaxyデバイスで対応している45W超急速充電。
対応出来る充電器の少なさに加え、仕様に関する情報が乏しく誤ったものも多いので、今更ですがここでどういった仕様の充電規格になっているのかを簡単にまとめておこうと思います。

充電規格

Galaxyの45W充電はSuper Fast Charging 2.0という充電規格を利用して行われています。
これは名称こそSamsung独自のものですが、中身はUSB PD 3.0とそのオプション規格PPS(Programmable Power Supply)そのものです。

標準規格であるUSB PD準拠の仕様を採用しているため、充電規格の乱立を抑制し、サードパーティの充電器でも利用しやすいなどのメリットが考えられます。

しかし問題なのは、Galaxyの場合USB PD 3.0とPPS対応で出力45W以上の充電器であっても、45Wでの充電は出来ない場合があるという事です。


細かい仕様の話になりますが、Samsung純正の45W Travel AdapterではPPS:3.3-11V/5Aという出力に対応しており、
http://www.chongdiantou.com/wp/archives/41213.html

実際にGalaxy Note10+では9V 4.3A付近が出力されています。

Galaxy Note10+ 45W充電速度測試 | Charging Speed Test (對比25W PD/15W QC/10W/15W無線充電)


重要なのはこの5Aという出力で、Galaxyの充電で利用する9V付近で45Wを出すためには必要となるのですが、最大21Vまで利用出来るPPSでは3A程度でも60Wクラスに対応できるため、そのクラスの充電器はわざわざ5Aまで対応させる必要がなく、5Aが必要となる100Wクラスの充電器でないとほぼ対応していないという事になります。

つまり純正充電器ではGalaxyに合わせて45Wながら5Aの出力に対応するという、言うなれば偏った仕様となっているのです。

サードパーティがこのような仕様を採用する必要はないため、60Wクラスの充電器でもGalaxyの45W充電に対応している物は殆ど存在しないのです。
また、5A出力の可能な100Wクラスの充電器は、そもそも数の少ないPPS対応充電器の中でも更に選択肢が限られます。

なのでGalaxyで45W充電をしたくて特にサードパーティに拘りが無いなら、純正の45W Travel Adapterを買うのが最も簡単で間違いないですね。
100Wクラスの充電器だとサイズも大きくなりますし。

45W充電対応充電器

この項では45W充電に対応できそうな充電器のリストを掲載していますが、あくまでもスペック上は可能とみられるだけで、実際に45W充電が可能であるという保証はできません。

Galaxy TRAVEL ADAPTER (45W)

純正なので安心感があります。迷ったらこれ。

Aukey Omnia Mix3

[asin:B08Q7L5XZD:detail]
Aukeyの最大出力90Wの充電器です。
Type-Cポートが2つあるなど、様々な機器を充電したいのであれば便利ですね。

ELECJET X21 GaN 65W PD (PPS) Charger

macperfect.shop
小型な3ポート充電器ながら、2ポート使用時でも1ポートはPPS:3.3-11V 5A出力が可能という報告もありGalaxyにはかなり使いやすいのではと思います。


この他の充電器でもPPSの出力が9V付近で5Aあれば45W充電が可能と思われます。


ただ、前項に載っているNote10+の充電速度の比較動画を見ると分かるように、45Wと25Wで劇的に変わるという訳では無いので、価格やサイズ等を考慮して30〜65W程度の充電器を選ぶというのもアリだと思います。
その際は以下の記事で紹介している充電器がおすすめです。
kurokamina.hatenablog.com


USBケーブルについては5A対応や100W対応と書かれている製品が必要になります。


まとめ

Galaxy Note10+、Galaxy S20 Ultra、Galaxy Tab S7 / S7+といったハイエンド端末を利用しているのであれば、充電も高速に行いたいものです。充電規格は難解ですが、この記事が45W充電をしたい時の参考に少しでもなればと思います。
 

Galaxy S20 / S20+の25W急速充電にはPPSが必要?

Galaxy S20+へ機種変しようと思い、QuickChargeメインだった充電器類を見直すために色々調べた規格の話。

説明は不要なので25W充電のできそうな充電器が知りたい方はコチラ



Galaxyの超急速充電について新たに書き直した以下の記事もあわせてどうぞ。
kurokamina.hatenablog.com



目次


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Galaxy S20の急速充電

2020年2月に発表されたGalaxy S20 / S20+は最大25Wで充電が可能となっており、国内版であるdocomoのSC-51A / SC-52AとauのSCG01 / SCG02も最大25Wというところは同じ仕様になっています。


では25Wで充電するにはどの規格の充電器が必要か?という事で、最大100Wの規格であるUSB PDに対応しているのでPDだと最初は思ったのですが、調べてみるとどうやらそう単純ではない様子。

25W充電にUSB PDを利用するのは確かですが、PPSという規格に対応した充電器が必要かもしれないようです。

 

Galaxy Note10+の45W充電に利用されていることなどで、ガジェット好きにはある程度知られるようになってきたのがUSB PD 3.0のオプション規格であるPPS(Programmable Power Supply)ですが、これは簡単に言えば電圧や電流を細かくコントロールする事で、ロスを少なくして発熱も抑えられるという機能です。

Galaxy S20シリーズではUSB-IFによりPPS対応の認証を受けています。
japanese.engadget.com


このPPSを利用することでGalaxy Note10+ひいてはGalaxy S20 Ultraでも45W充電が可能になった訳ですが、Galaxy S20 / S20+の25W充電にPPSは必要なのでしょうか。

気になったのでUSBテスターを使用して計測してみることにしました。


充電速度テスト

この項ではいくつかの充電器で充電テストを行っていこうと思います。

テストに使用するのはGalaxy S20+ SC-52Aです。
USBテスターはYK-LAB YK001 Shizuku。

18W充電器 PPS非対応

Baseus 20,000mAh Power bank with Dual Quick Charge 3.0
PDO:5V=3A / 9V=2A / 12V=1.5A / 15V=1.2A
取っ手が便利なBaseusのモバイルバッテリー。実はType-CポートがUSB PD / QC3.0両対応で規格違反だけど、使いやすいからキニシナイ。

8.74V 1.62A 14.19W
18W充電器なので25Wは勿論出ませんが、14Wとちょっと低めですね。


30W充電器 PPS非対応

Anker PowerPort I PD
PDO:5V=3A / 9V=3A / 15V=2A / 20V=1.5A
有名どころAnkerの多ポート充電器。30WのType-Cポートを1つ備えています。

8.64V 1.62A 14.03W
こちらは30W充電器ですが、18W充電器と同じような結果になっています。


65W充電器 PPS対応

Baseus GaN Mini Quick Charge Travel Charger
PDO:5V=3A / 9V=3A / 12V=3A / 15V=3A / 20V=3.25A
PPS:3.3-11V=3A
今回の本命、モバブと同じくBaseus製のPPS対応チャージャー。
PPSは実は21Vまで対応しているらしい→してました:画像

9.20V 2.77A 25.51W
本命のPPS充電器でようやく25Wの出力になりました。


ケーブルが変わっているのはPPSの計測をする時のUSBテスターとの相性です。
25W超の出力になっていますが、充電開始後の一瞬だけで、その後は24W台の出力になっています。


また、この充電器では接続時に表示されるアニメーションが青くなり「超急速充電」と表示されます。

左:PPS非対応充電器 右:PPS対応充電器
アニメーション以外が暗くなるので読みづらいですが、充電完了までの時間も短くなっています。


という事でやはり25W充電にはPPS対応充電器が必要とみられる結果となりました。
非対応の充電器では15W付近が上限ではないかと思われます。


ただ、個人的にはPPSで充電時の電圧・電流の変化だったり、非PPSとの違いをもう少し確かめてみたくなり新しいUSBテスターを注文したので、それが届き次第この記事の内容も更新していこうかなと思います。
先週書いたGalaxy A7の記事みたいな内容になるかも。

kurokamina.hatenablog.com
まあ中国へ注文したUSBテスターがいつ届くかは分かりませんが。

2020/07/16更新 USBテスターが届いたので記事内の画像などを差し替えました


充電時間テスト

バッテリー4,500mAhのGalaxy S20+で、0%から100%まで電源オフ状態での充電時間を計測します。

PPS対応充電器

30分 53%
60分 90%
74分 100%

1時間14分でフル充電が完了という結果になりました。

経過グラフ

黄色:電圧(V) 水色:電流(A) 紫色:積算電力(Wh)
高解像度版

グラフではPPS対応らしく電圧が細かく動いているのが分かると思います。
1時間14分で端末上では100%表示になりましたが、その後1時間37分までは給電が継続されていました。
経過を細かく見ると、充電開始後数分や26分から46分辺りまでは10秒ごとに一瞬出力が上がるような動作を繰り返しており不思議な感じです。


PPS非対応充電器

30分 36%
60分 71%
94分 100%

充電器はAnker PowerPort I PDです。
最初の30分で17%の差が開きましたが、その後は同じような速度で充電され、1時間半強で100%になりました。

経過グラフ

黄色:電圧(V) 水色:電流(A) 紫色:積算電力(Wh)
高解像度版

電流値が落ち始めた辺りから電圧が若干上がっていますが、PPSのようには上下せず比較的単純な経過になっていると思います。
100%になった後も1時間57分までは給電が続いていました。


比べるとPPS対応充電器ではフル充電で20分の短縮ができ、特に最初の30分の差が大きいということですね。

Samsung AFC充電器

30分 37%
60分 74%
92分 100%

追加で15WのSamsungAFC充電器でも計測してみましたが、PPS非対応充電器とほぼ同じ結果となりました。
ですのでPPS非対応のUSB PDもやはり15Wが上限ではないかと思います。

経過グラフ

黄色:電圧(V) 水色:電流(A) 赤色:積算電力(Wh)
高解像度版

9Vを若干超える程度で1.63A付近の出力が続き、80%辺りから徐々に電流が低下していきました。
一瞬電流値が上がっている1時間32分で100%となり、1時間58分で5V 0.04Aとなり給電がほぼ停止しました。



25W充電ができそうな充電器リスト

あくまで仕様上は25Wで出力できそうというだけで、実際に可能であるという保証はできません。

Samsung 45W USB-C Power Adapter EP-T4510XBJGJP

絶対的な安心感のある純正充電器です。
少しお高いですが5A対応ケーブルも付属します。

Anker PowerCore 10000 PD Redux 25W

Anker初のPPS対応モバイルバッテリー。出力25Wながら大きさ約 107 x 52 x 27 mm 重さ約 194 gと非常にコンパクト。Galaxy向けモバブの定番になりそう。

Google 30W USB-C 充電器

USB Type-Cの規格遵守という面では絶対的な安心感があるのがGoogleの充電器です。機能的にこれといった特徴はありませんが、品質を考えると選ぶ価値は大いにアリ。

Belkin BOOST↑CHARGE™ USB-C PD 3.0 PPSウォールチャージャー25W

Belkinの25W充電器。安価ですがその分他の25W充電器よりサイズは大きめ。とはいえ高出力の充電器よりはずっと小さいですし、この価格でBelkinブランドなのでとりあえず買うならこれがオススメです。

docomo ACアダプタ 08

ドコモ純正のPPS対応45W充電器。出力が 3.3V-16.0VDC/3.0A となっているため45W充電は不可ですが、ドコモのサポートを受けられるという点では良いかも。

オウルテック OWL-ACPDU1S

Galaxyには使いやすい出力で、Standard-Aポートも1つあるので使い勝手は良さそう。




これ以外でも、9V付近をカバーするPPSの出力が2.75A以上ある充電器であれば25W充電が可能と思われます。

Galaxy S20 Ultra等の45W充電に対応する充電器についてはこの記事をお読みください。
kurokamina.hatenablog.com


USBケーブルについては両端がUSB Type-Cコネクタのものであれば基本的には大丈夫です。
規格上は両端がType-Cであれば最低限でも20V 3AまでのUSB PD対応なので、特にUSB PD対応と書いてあるケーブルを選ばなくても使えますし、Galaxy S20に付属するケーブルでも大丈夫です。
Galaxyの25W充電に用いるのであれば、5A対応や100W対応という製品でなくてもOKです。

一応幾つか使えそうなケーブルを挙げていきます。

とりあえず買うならAnkerのPowerLine IIIで良いと思います。
長さの選択肢も多いですし、カラバリにホワイトもあります。


耐久性も求めるならAnkerのPowerLine+でしょうか。
Anker製品は最大24ヶ月の保証があります。


データ転送用のケーブルも兼ねたいのであればUSB3.1 Gen.1のものが便利。
このケーブルはAmazonベーシック製品でUSB-IF認証を受けているので安心です。
USB3.xのケーブルはコネクタ周りが大きいため、充電だけで使うのであればUSB2.0ケーブルの方がおすすめです。



まとめ

Galaxy S20の25W充電にはPPS対応の充電器が必要と思われる結果になりましたが、充電時間が短縮できますし、PPSによる電圧・電流制御でロスを減らし発熱を抑えられることも期待できるので、S20シリーズを使用するのであれば新しい充電器を購入してみてはいかがでしょうか。

Galaxy A7の充電速度を計測してみる

楽天モバイルのGalaxy A7 SM-A750Cを購入したものの、充電速度がちょっと遅い。
なのでUSBテスターを使用して充電速度を計測してみようと思います。
※記事の内容が正しいかは保証いたしかねますのでご注意ください


目次


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スペック

Galaxy A7 2018の楽天向けモデルで、基本仕様は2018年に発売されたモデルのままのようです。

OS Android 9
CPU Exynos 7885
RAM 4GB
ROM 64GB
バッテリー 3,400mAh
端子 MicroUSB
急速充電 非対応

スペック詳細 | Galaxy A7 | スマートフォン | 楽天モバイル


MicroUSBですので勿論USB PDには非対応で、スペック表には急速充電非対応とあるのでQuick Charge等も非対応と判断できます。

ただ、付属の充電器は15W急速充電用のものでした。
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充電規格を探る

スペック表では非対応になっている急速充電が本当に使用できないのか検証していきます。


Samsung AFCSamsung 5V/2A
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これはA7付属の15W充電器で9V 1.67A,5V 2Aの出力を持ちますが、5V給電となりAFCは非対応のようです。
5Vは概ね1.2~1.45A付近で推移していましたが、これだけではSamsung 5V/2Aを利用しているか判断できません。


Quick Charge 3.0
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Baseus製のQC3.0充電器に繋ぎましたが通常の5V給電となりました。
電圧は付属充電器より若干低いですが、電流は最大で1.44A付近になっています。


Quick Charge 2.0
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SONY製のQC2.0充電器に繋ぎましたが通常の5V給電となりました。
QC3.0が下位互換なので2.0でテストする理由はありませんが、Baseusの充電器はAFCと5V/2Aにも対応しているので、余計な規格に対応していないSONYの充電器でもテストしてみました。
こちらは電流も若干低いですが、数年使っていたモバイルバッテリーなのででしょうか。


SamsungのMicroUSB端子搭載デバイスで利用できそうな急速充電規格はこんなものだと思いますし、QC3.0をテストしたBaseusの充電器は多くの規格に対応していますが昇圧されなかったので、急速充電非対応というのは間違い無さそうです。


ではGalaxy A7の充電規格は何かという話ですが、最大1.5A近くでSONYの充電器でも使えていること、またこのUSBテスターのPC用ソフトウェアの画面の一部がこちらなのですが、
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このProtocolを見るに、A7の充電規格は
USB Battery Charging (USB BC)
ではないかと思います。
この規格でしたら最大1.5Aですし、USBの充電規格としては標準的なものですから急速充電非対応と表記されると思います。


この規格は対応を明記している充電器が殆どないのですが、基本的には出力1.5A以上の充電器であれば多くが対応しています。
例えば私が使用している5ポート充電器のAnker PowerPort I PDでも1.3A付近で充電されていました。

なので新しくGalaxy A7用の充電器を購入する時は出力が1.5A以上の製品を選べばよいかと思います。


充電時間テスト

付属充電器より明確に高速になる充電器は無さそうなので、付属充電器で充電時間を計測していきます。

条件としては電源オフで0%から100%までの充電時間を計測します。


そして実際の計測結果は100%までの充電に約2時間半となりました。
途中経過では1時間で48%、2時間で87%でした。


充電速度の経過のグラフがこちらです
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黄色:電圧(V) 水色:電流(A) 赤色:積算電力(Wh)
高解像度版

出力の経過としては0%から5V 1.43A付近で充電が始まり、60%辺りから徐々に電流が減少し、90%手前で更に速度が落ちました。

グラフでも一瞬大きく電流が低下しているのが確認できる2時間27分でGalaxy A7の画面では100%表示になりましたが、その後も低速ながら充電が続き、2時間45分で一気に0.001Aとなり充電が停止しました。


環境によって充電時間は増減するとは思いますが、そこそこ掛かるなという印象ではあります。
ただ2時間足らずで80%は超えていたので、実用としてはこの辺りまで充電すれば十分ではないかなとは思います。

ちなみに私が以前使っていたGalaxy S7 edgeは同じくMicroUSBですが、Quick Charge 2.0対応で3,600mAhのバッテリーを約105分でフル充電できていたので、それと比べると1.5倍は時間がかかりますね。
あと関係ないけど新しいUSBテスター欲しいなぁ。丁度このテスターと同じChargerLABから新しいテスターが出ましたし。

まとめ

Galaxy A7は最大1.5AのUSB BCで充電できそうという事が分かりました。Galaxy全般に言えることですが充電規格が分かりづらいので、もう少しSamsungも仕様を公開して欲しいなというのが本音です。
ただ、Galaxy A7は低価格ですし、楽天モバイルのキャンペーンなどで購入しやすい機種なので、現在使用されている方、これから購入しようとされている方にこの記事が参考になればと思います。


ちなみに、表裏があるMicroUSBですが、私の使っているBaseusのケーブルは表裏がなく向きを確認する必要がないので便利ですよ。
kurokamina.hatenablog.com

他にもカシムラなどの製品がありAmazonで購入できます

CORSAIR QL140 RGBを購入したのでレビュー

目次

はじめに

2017年にCORSAIRがLL RGBファンを発表してから2年余り、新しいRGB LEDファン「QL RGB」が発売されました。

個人的にはLL RGBを購入したのが日本で発売されてすぐの2017年12月で、そろそろ新しいファンを……と考えていたところだったので購入してみました。

そこで今回はLL140 RGBとの比較を中心にレビューしていきたいと思います。
kurokamina.hatenablog.com

パッケージ

購入したのはQL140 RGB Dual Fan Kit
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ブラックとイエロー基調のCORSAIRらしいパッケージですね。
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LL140 RGBのパッケージと並べると、少し変化も感じられますが。

主な内容物はこの通り。
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  • 2x QL140 RGB
  • 1x Lighting Node CORE
  • 1x 3M 両面粘着パッド
  • 1x 取扱説明書
  • 8x テーパーネジ

説明書はCORSAIR製品の例に漏れず日本語はありません。

スペック

ファンのスペックをQL120 RGBやLL RGBも交え整理します。

回転数
550-1250 RPM
600-1300 RPM
525-1500 RPM
600-1500 RPM
360-2200 RPM
風量
50.2 CFM
51.5 CFM
41.8 CFM
43.25 CFM
63 CFM
静圧
1.4 mm-H2O
1.52 mm-H2O
1.55 mm-H2O
1.61 mm-H2O
3.0 mm-H2O
ノイズ
26 dBA
25 dBA
26 dBA
24.8 dBA
36 dBA
PWM
対応
対応
対応
対応
対応
LED数
34
16
34
16
16
保証期間
2年
2年
2年
2年
2年

並べてみると分かりやすいですが、ファンとしての性能はLL RGBのほうが上ですね。
とはいえそこまで大きな差はありませんし、LL RGBもファン性能を追求したタイプではないといえ、良いファンではあるのでQL RGBも同じレベルが期待できます。
個人的にはLL120 RGB Whiteのように幅広い回転数に対応してくれたら嬉しかったのですが。

LL RGBではパッケージに記載のあったLEDの消費電力は、QL RGBでは確認できませんでした。
DOMINATOR PLATINUM RGBなどに採用されているCAPELLIX RGB LEDのような、省電力高輝度なLEDが採用されているのか少し気になります。

セットアップ

QL140 RGBのDual Fan Kit及びQL120 RGBのTriple Fan KitにはLEDコントローラーのLighting Node COREが付属します。
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このコントローラーをマザーボードUSB2.0ピンヘッダと、電源ユニットのSATA電源に接続します。
接続イメージ
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Lighting Node COREのLED端子には番号が書いてあるので、その順で接続していかないと光りません。最大6基まで。
LEDとファン電源は別のケーブルなので、予めファン端子が足りるか確認し、不足する場合は分岐ケーブルなどを用意する必要がありますね。


既にLL RGBなどを使っていて、Lighting Node PROを利用している場合は、LEDファンを置き換えてQL RGBを導入可能ですが、注意点があります。

それは「全体のLED数が204を超えないこと」です。

Lighting Node PROにはLED端子が2ポートありますが、現状のファームウェアでは2ポート合計で204個までしか制御できません。
接続例をいくつか挙げていくと
接続例1
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QL RGB(34 LEDs) x 6 = 204

接続例2
f:id:kurokamina:20200118220652p:plain
QL RGB(34 LEDs) x 4 = 136
RGB LED Strip(10 LEDs) x 4 = 40
136 + 40 = 176

このようにLED数が204以下であればOKですが、

接続例3
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QL RGB(34 LEDs) x 5 = 170
RGB LED Strip(10 LEDs) x 4 = 40
170 + 40 = 210

このようにLED数が204を超える場合は使えません。
具体的に言うとiCUE上でこの個数を指定できないので、別途LEDコントローラーを用意する必要があります。
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手っ取り早いのがQL RGBのLighting Node CORE付属キットを購入することですね。

ただ、Commander PROを利用している場合はこの制限が無いので、
接続例4
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このようにQL RGBを12個繋いでも制御できます。
RGB Fan LED Hubを別途用意する必要がありますが。

LEDコントロール

コントロールは基本的にCORSAIR iCUEソフトウェアで行います。
https://www.corsair.com/ja/ja/icue
まずLIGHTING SETUPで接続したQL RGBの個数を設定します。
f:id:kurokamina:20200121233250p:plain
その後LIGHTING CHANNELの右の+をクリックして、エフェクトを設定することで光るようになります
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RAINBOW SPIRALでの光り方がこんな感じ。

QL140 RGB SPIRAL RAINBOW

前後どちらも同じような光り方になっており、横からも光が見えるのが分かります。

試しにLL140 RGBと並べて光らせるとこんな感じ

CORSAIR QL140 RGB & LL140 RGB SPIRAL RAINBOW

上がQL140 RGB、下がLL140 RGBです。

正面からだとLL140 RGBとほぼ差が無いですが、少し斜めからなら2本のライトループがあるのが見えます。
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裏から見るとこんな感じ。
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ちなみにLL140 RGBだとこんな感じ。
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どちらもSilverStoneのSST-FF143Bというフィルターを通しており、ケースに光が遮られている部分がありますが、QL RGBのほうが同じような角度でも多くのエリアのLEDが見えるのが分かります。
中央のライトループはLL RGBでは4つのLEDが搭載されていましたが、QL RGBでは表側に4つ、裏側に6つのLEDという構成になっています。パッと見でも光っている色が増えた感じがします。


iCUEはカスタム性がとても高く、LED 1個単位で範囲指定をしてエフェクトを組み合わせられるなど、かなり好みに合った光らせ方ができると思います
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単純に表裏で分けて別のエフェクトを指定することも可能です。

QL140 RGB SPIRAL RAINBOW + SEQUENTIAL

なので、アイデア次第ではLL RGBより面白いエフェクトを作れるでしょう。
まあ基本はラジエーターをサンドしたり、O11 DynamicのようなPCケースの底面吸気ファンに使うのがこのファンをより目立たせられる思いますが……

ただ少し気になったのが、裏側のLEDの光が表側に透過してしまう事です。
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こちらは裏側だけをライトグリーンで光らせていますが、表側も薄く光っているように見えます。
逆に表側のLEDは裏側にあまり透過しないのですが、エフェクトを考える際には注意が必要ですね。

ファン性能

今回はファン電源をCommander PROに接続したので、iCUEでファン速度を制御します。

回転数100%にしたところ、意外にもLL140 RGBとほぼ同じか僅かに高回転で、1,310~1,350 RPM辺りという回転数になりました。
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Fan #3がQL140 RGBでFan #4がLL140 RGBです。

風量や冷却性能は測るのが難しいのですが、とりあえずLL140 RGBより目に見えてCPU温度が上がると言ったことはありませんね。

静音性についてはスペック上LL140 RGBよりノイズが増えていますが、私の体感としてはむしろ良くなっている気がします。
QL RGBは防振ラバーダンパーがネジ穴周りに来たので、制振性能が上がって共振などが防がれているのかな?
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まああくまで体感ですし、PCケースとの相性もあると思いますが。

まとめ

このQL RGBはCORSAIRの新型RGBファンとしてLL RGBの正統進化をしてきたと感じます。ただファンとしてのスペックは上がっておらず、発売直後で実売価格もLL RGBより高額なため、このファンを選ぶかは裏側のライトループにどれだけの価値を見出せるかによると思います。
とはいえ考えてみると、吸気ファンの多くは裏側が見えていますし、CORSAIRのCarbide 678CCarbide 275RのようなPCケースはむしろ表側が見えず裏面だけが見えます。意外と活かせる環境は多いのかもしれません。
価格はLL RGBの発売直後とほぼ同じなので同様に下がっていく期待も持てますが、CORSAIRのRGBファンが好きでより煌びやかなPCを目指しているなら今の価格でも買って損はないと思います。

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QL120 RGB Whiteマダァ-?