おすすめな充電器も! ワット数 比較
待望のUSB-C搭載となったiPhone 15が発売されてから遅れること1か月、USB-C好きの私もようやくiPhone 15を手に入れたので、今回はその充電仕様をいくつかの条件で検証していきます。
▮目次
はじめに
2023年9月に発売されたiPhone 15シリーズでは、iPhone 5以来搭載されていたLightningポートが廃止され、新たにUSB-Cポートが搭載されたことにより、充電に関する仕様も従来のiPhoneとは変化が生じています。
iPhone 8/X以降はUSB PD(USB Power Delivery)という急速充電規格を利用した高速充電に対応しており、USB-CポートのあるUSB PD対応充電器で高速充電が可能という点は、iPhone 15でも利用するケーブルは変わりますが基本的には変わりません。
今回はApple製品をはじめとした複数の充電器を利用して、その充電速度・時間をUSBテスターを利用して計測していきます。
iPhone 15を高速充電するために必要なもの
USB-CとなったことによりLightningポートを搭載するiPhoneとは充電に必要なものが異なっています。
特に高速充電に必要になってくるのが以下の2つです。
①USB-Cケーブル
iPhone 15同梱品をはじめ、両端がUSB-C端子のケーブルであれば規格上は全てのケーブルがUSB PDに対応しています。
品質を気にしなければ100円ショップで販売されているケーブルでも高速充電は可能です。
USB-CケーブルのUSB規格は充電においてはUSB2.0とUSB3.0で違いはありません。
充電のみに使用する場合はコネクタの小ささなどで有利なUSB2.0ケーブルをオススメします。
②USB PD対応充電器
USB-C (USB Type-C)ポートを搭載している出力20W以上の充電器が推奨されています。
従来型のUSB(Standard-A)ポートを持つ充電器でも充電は可能ですが、USB-Cの仕様で従来型のUSB充電器からの最大出力が定められており、Lightningポート搭載のiPhoneと比べ充電速度が遅くなるなどの変化が予想されます。
検証環境
・iOS17.1
・最大容量:100%
・最適化されたバッテリー充電:OFF
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- USBテスター
YK-LAB Shizuku YK001
.- USB-Cケーブル
Baseus Dynamic Series Fast Charging Data Cable 100W 1m (USB2.0 5A対応) ×2
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- USBケーブル
Amazon Basics USB-A 2.0 Extension Cable 1m
Amazon Basics USB-C to USB-A 3.1 Gen 2 Adapter Charger Cable 0.9m
追加検証環境
- USBテスター
YK-LAB YK-003C
.- USB-Cケーブル
Baseus USB-C Fast Charging Cable 240W 1m (USB2.0 5A対応)
計測
・Apple 5W USB電源アダプタ A1385
iPhone 11以前のiPhoneに付属していた出力1AのUSB充電器です。今でも利用している方は多そう。
充電開始直後
経過
■電圧(V) ■電流(A) ■積算電力(Wh) 高解像度画像
100%までの充電時間:3時間22分
iPhone上の表示は3時間22分で100%となりましたが、給電はその後も3時間55分まで続いていました。
出力は1A近くになるため、従来のiPhoneと変わらない速度で充電できますが、バッテリー容量が半分以下だった時代の充電器なので、現代のiPhoneには完全な力不足ですね。バッテリーに長時間負荷がかかるのも微妙。
・Apple 12W USB電源アダプタ A1401
第7世代以前のiPadなどに付属していた出力2.4AのUSB充電器です。Lightningポート搭載のiPhoneではUSB PDほどではないですが高速な充電が可能でした。
充電開始直後
経過
■電圧(V) ■電流(A) ■積算電力(Wh) 高解像度画像
100%までの充電時間:2時間39分
最大出力が12WであるA1401ですが、iPhone 15では7W強と控えめな出力となりました。
比較としてiPhone 13を充電した際の出力がこちらです。
何故iPhone 15では充電速度が落ちているのかというと、これはUSB Type-Cの仕様として、USB Standard-Aのようなレガシーコネクタを搭載する充電器からは、最大でUSB BC 1.2という規格に則った1.5Aまでの出力しか要求してはいけないことになっているためです。
Apple 12Wの規格自体はD+およびD-に2.7Vを印加する方式のため、USB-Cでも検出することは可能ですが、規格に則った動作とするために意図的に無視しています。
簡単に言えば、USB-CのiPhoneはUSB-Aの充電器では最大で7.5Wまでしか充電できません、ということですね。
Appleはこれを厳格に守っているので、充電速度が遅くなっているというわけです。
iPhone向けとして2.1Aや2.4Aの出力を謳っている充電器が多く販売されていますが、これらはUSB-CのiPhoneでは1.5Aの充電器になってしまうということで、これらの充電器の利用者が旧世代のiPhoneからiPhone 15へ買い替えた場合、バッテリー容量の増加も相まって充電が遅くなったように感じることはありそうです。
・Apple 20W USB-C電源アダプタ A2305
iPhone 15の高速充電に推奨されている純正充電器です。
充電開始直後
経過
■電圧(V) ■電流(A) ■電力(W) ■積算電力(Wh) 高解像度画像
100%までの充電時間:1時間55分
充電開始直後は19W弱で推移し、段々と出力が下がりながら50分でPDOが9Vから5Vに変わり、1時間55分で100%なった後も給電が続き、2時間15分で0.01Aになってほぼ停止しました。
最大出力となっている時間は22分ほどに過ぎないので、今回は検証していませんがApple 18W USB-C電源アダプタの場合でも近い時間で充電できるのではないかと思われます。
・Apple 29W USB-C電源アダプタ A1540
2015年にMacBook用として発売された充電器です。
現在のUSB PDパワールールが策定される前の充電器ということもあり、対応しているPDOが以下の通り。
- 5V 2.4A(外装の表記は5.2V 2.4A)
- 14.8V 2A(外装の表記は14.5V 2A)
通常iPhoneの高速充電に利用される9Vには対応しておらず、前述の12W USB電源アダプタとMacBook用の充電器を合わせたような対応電圧となっています。
しかしAppleの純正充電器ではあるので、この場合どのように充電されるのかが気になり追加で検証しました。
充電開始直後
経過
■電圧(V) ■電流(A) ■電力(W) ■積算電力(Wh) 高解像度画像
100%までの充電時間:1時間53分
PDOは14.8V 2Aが選択され、充電開始後10秒は充電器の最大出力である29Wに達しましたが、その後は20W付近に下がってA2305と同じような経過となりました。
iPhone 15発売の5年前に販売終了している古い充電器ですが、純正品ということでしっかり互換性が保たれており高速充電も可能という点はAppleらしい姿勢といえるでしょうか。
・Samsung EP-TA800
Samsungの25W USB PD3.0対応充電器です。USB Type-C規格に準拠しており余計な規格に対応していないかつ、電圧の安定性を鑑みて追加で検証しました。
USB PD3.0のオプション規格であるPPS(Programmable Power Supply)にも対応しています。
充電開始直後
経過
■電圧(V) ■電流(A) ■電力(W) ■積算電力(Wh) 高解像度画像
100%までの充電時間:1時間47分
充電開始直後10秒ほどは23Wという出力になりましたが、その後は画像にもあるように20W付近から徐々に上昇しつつ、22分から出力が下がりはじめ、1時間47分で100%と表示された後も、2時間12分までは給電が継続されていました。
iPhone 15は細かく電圧・電流を制御するPPSには非対応ということが分かります。
Samsungの充電器はいくつか使っていますが、どれも電圧が安定しているので結構気に入ってます。
・Anker 511 Charger (Nano 3, 30W)
Ankerの小型サイズながら出力30Wでプラグ折りたたみも可能な充電器です。こちらもUSB PD3.0 PPSに対応しています。
充電開始直後
経過
■電圧(V) ■電流(A) ■電力(W) ■積算電力(Wh) 高解像度画像
100%までの充電時間:1時間56分
開始直後は一瞬だけ25W付近まで出力が上昇したものの、すぐに20~21W程度で安定してApple A2305より若干高出力になり、20分ほどで出力が下がり始めて以降はA2305とほぼ同じように推移しています。
結果
100%までの充電時間
Apple 5W | 3時間22分 |
Apple 12W | 2時間39分 |
Apple 20W | 1時間55分 |
Apple 29W | 1時間53分 |
Samsung 25W | 1時間47分 |
Anker 30W | 1時間56分 |
検証の結果は以上となりました。
結論
経過としては充電開始後20分ほどは20Wを超える出力で充電されるため、おおよそ25W以上の充電器であればiPhone 15を最速で充電できると言えそうです。
ただし20W充電器でも充電時間はほぼ変わらず、iPhone向けに小型な充電器も豊富なので、購入するなら20W充電器でいいかな、というのも個人的な感想としてはあります。
10Wおよび12W充電器はiPhone 15に対しては7.5W充電器として扱われるため、充電の速さを求めてこれらの充電器など2.1Aや2.4Aという出力の充電器を利用していた方は、このタイミングでUSB-C充電器を購入することをオススメします。
5W充電器でも充電時間が倍までは行かなかったのが少し意外ではありますが、充電開始後20分の速度は4倍となっているので、体感では速さの違いはかなり感じられると思います。使いながら充電する際は特に顕著に違いがあると思いますし、バッテリーへの負担を考えると短時間で充電してしまったほうが良さそうですね。
オススメな充電器
Anker 511 Charger (Nano 3, 30W)
Ankerの30W充電器です。5W充電器のようなサイズ感でありながらプラグが折りたたみ可能で、MacBook Airの充電まで可能な高出力が魅力。オススメなモバイルバッテリー
Anker Nano Power Bank (30W, Built-In USB-C Cable)
AnkerのUSB-Cケーブル一体型で容量10,000mAhのモバイルバッテリー。一体型になっているケーブルはストラップにもなるので持ち歩きに便利。オススメなケーブル
Anker 310 USB-C & USB-C ケーブル
AnkerのベーシックなUSB-Cケーブル。2本セットの価格がかなりお得なのは魅力。Belkin BoostCharge Pro Flex USB-C to USB-C ケーブル
Belkinの編組シリコンで作られた耐久性の高いUSB-Cケーブル。付属のケーブルクリップに磁石が内蔵されているのが特徴的。Apple Storeでも取り扱われています。
まとめ
iPhone 15の高速充電には20W以上のUSB PD対応充電器が最適という事が分かりました。
Appleの10W充電器・12W充電器ではiPhone 14以前のモデルより出力が下がるなど、USB-CおよびUSB PDに対して厳格なAppleらしい仕様になっているのは好感が持てます。PPSを採用するGoogle PixelやSamsung Galaxyに比べると保守的な印象を持ちますが、まずはiPhoneがUSB-Cとなったということを喜びたいですね。
USB-Cは分かりづらいという印象を持たれがちですが、iPhoneを充電することに関してはかなり単純なので、このブログが快適な充電の参考になればと思います。