光るM.2 SSDヒートシンク「XPG STORM RGB」レビュー

昨今増えているRGB LEDを搭載するPCパーツ。とうとうM.2 SSD用のヒートシンクまでRGB LED搭載の製品が登場してきました。

 

紹介するのはADATAが展開するゲーマー向けブランドXPGの
XPG STORM RGB M.2 2280 SSDヒートシンク
です。

http://www.xpg.com/jp/feature/494

 

M.2 2280フォームファクタSSD向けのこの製品は、冷却面においてはヒートシンクに加え16,500rpmのファンを搭載し、外観は昨今の流行に合わせてRGB LEDを搭載しています。

昨年11月に発表されてから発売を心待ちにしていましたが、今回ADATAさんのご厚意によりユーザーモニターをさせていただくことになりました。

 

なお、日本での発売についてはブログを書いている時点では未定ですが、日本で販売する予定ではあるそうです。

 

 

 

 

開封

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黒いパッケージは思ったより小型ですね。

大手4社のRGB LEDに対応しています。

 

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内容は

でした。

ネジについては恐らくシルバーがM3でブラックがM2だと思いますが、記載を確認できなかったため断定はできません。今回はMSI H270M MORTAR ARCTICへ搭載しましたが、使用したのはブラックのネジです。

説明書は無く、二重になっているうちの内側のパッケージ裏に簡単な説明が書いてあります。

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搭載については正直説明書が要らないほど簡単には感じましたが、それにしても簡素な気はします。

 

 

搭載

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まず本体裏のサーマルパッドに貼られている青い保護シールを剥がし、SSDの端子をしっかり露出させ、かつSSDのネジ固定部とヒートシンクの黒いネジ穴が合うように貼り付けます。

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更にRGB LED 4pinケーブルと、今回はファン3pinケーブルを接続します。

搭載してもケーブルが目立ちづらいよう、ブラックになっているのは良いですね。

 

この状態でマザーボードのM.2スロットへ搭載し、4pinケーブルはマザーボードのRGB LED 4pin端子へ、3pinケーブルはマザーボードのファン端子へ接続します。4pinケーブルには分かりづらいですがコネクタに▲マークがあり、そこが+12Vになっています。

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その状態でPCを起動して、LEDが点灯し、ファンが回転すれば設置完了です。

ファンはパッケージの写真にあるように10.5-12Vが推奨されているので、マザーボードのファン端子は電圧制御モードにして規定の電圧になるよう設定しましょう。

 

 

ヒートシンクについて

ブラックの筐体に流れるライン状のLED、ひと目でXPGと分かる光るロゴ、チラリと見える赤いヒートシンクは所謂「魅せるPC」を組んでいる方にとっては魅力的に映るのではないでしょうか。LEDパーツを多く使用しているけどSSDだけは光ってないよなんて方も多いでしょうし。

実際に各色光らせてみるとこんな感じ。


ADATA XPG STORM RGB M.2 2280 SSD Heatsink

他のLEDパーツの影響で見づらいかもしれません。ごめんなさい。

 

動画では分かりませんが、このLEDはRedが強すぎるのかRGBで搭載位置がズレているのか、ホワイトで光らせようとした場合にかなり赤が強く出てピンクのような発色になります。

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もしかして別のLEDパーツの影響かと思い、コントローラー直でこれだけ繋いでも色は変わりませんでした。

これが特に私のようにホワイト系パーツで固めている環境だと気になります。

ただ、他のカラーでは全く問題なくキレイな発色になるので、ホワイト以外のカラーをメインに光らせるには問題ないかと思います。

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本体のネジ穴側から中を見ると結構空間があります。

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本体の高さが公称23.1mmということで、CPUクーラーやグラフィックボードとの干渉には注意するべきですね。

 

 

冷却性能

今回使用する環境の主なパーツはこちら

 

測定方法はCDMで1GiB 5回のテストを実行した際の最高温度を記録します。

ケースファンの回転数については0%と100%の2パターンで計測します。XPG STORM RGBのファンは12Vの状態で固定です。

今回はヒートシンク無しの状態に加え、M.2 SSDヒートシンクAquacomputer kryoM.2 microも比較対象として検証しました。

 

まずはHWiNFOの項目「Drive Temperature」から

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XPG STORM RGBはヒートシンクなしより6~8℃、kryoM.2 microより3~4℃温度が低く、放熱性能の高さがうかがえます。

 

続いて「Drive Temperature 2」です

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こちらはヒートシンクなしより3~7℃温度が低下していますが、kryoM.2 microとの比較では逆に13~15℃も温度が高くなってしまっています。

温度が高くなる原因についての個人的な推測→*1 

長たらしい文章なので脚注機能を使いましたが要約すると、今回使用したSamsungSSDとは相性が悪く温度が下がりづらいが、ADATAのSSDや相性の良いSSDだったらかなり冷える可能性はありそうということです。

 

2018.05.30追記

サーマルパッドを剥がしてkryoM.2 microのものを流用しテストしてみました。

環境はHWiNFOをv5.84-3450へ更新し、CDMでは以前はインターバル5秒設定だったものを0秒へ変更しています。ファンの回転数は100%です。気温も上がってきたので、これまでのデータと直接比較できるものではありません。

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NAND側のDrive Temperatureが-4℃、コントローラー側のDrive Temperature 2が-9℃という結果になりました。
やはり付属のサーマルパッドでは960EVOのように厚みが均一でないSSDと相性が悪いようで、うまく熱を伝えられていないことが分かります。

kryoM.2 microのサーマルパッドは劣化していていたので、より高性能な製品へ交換すると更に冷えそうな気もします。

サーマルパッドを柔らかく厚みのあるタイプへ交換し、LEDが綺麗に白く光る新製品を出してほしいなぁ……

 

 

ヒートシンクに搭載されているファンについては、温度上昇を抑える効果は確かにありそうで、ファンを停止させた場合は負荷時で2℃ほどでしたが温度が高くなりました。
小型ファンなので一瞬で排熱できるほどではありませんが、ベンチマーク後の温度低下は若干早いように感じます。
ただ、小型ファンといえど16,500rpmなので、静音性を重視している環境だと気になるのは仕方ありませんね。上に挙げた環境でファンを20~40%で回していると、XPG STORM RGBのファンは電圧をかなり下げていてもノイズが聞こえます。

負荷をかけない場合はファンを止めちゃっても大丈夫なので、静音性重視でファンを動かすのは保険みたいに考えてもいいかもしれませんね。

 

 

まとめ

この製品はファン付きのM.2 SSDヒートシンクというだけで希少ですが、更にRGB LEDまで搭載しているという意欲作です。M.2用ヒートシンクはまだ発展途上のカテゴリでまだ改善点も見受けられますが、搭載したRGB LEDを制御できるという大きな価値があり、昨今流行りの魅せるPCを構築するにはもってこいです。日本国内で発売されれば、M.2用ヒートシンクのカテゴリで存在感を示せる、そんな製品だと感じました。

 

 

フォト

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*1:

2つの温度計で温度に大きく差が出る理由ですが、おそらくHWiNFOで表示される温度のうち「Drive Temperature」はネジ穴側のNANDチップ付近の温度、「Drive Temperature 2」は端子側のコントローラー付近の温度を表示しているのだと思います。

そして、使用しているSamsung 960 EVOはNANDチップに比べコントローラーチップの高さが低く、対してサーマルパッドの厚みは一定のためコントローラーと強く密着せず熱を伝えられていないと考えています。では何故kryoM.2 microは温度が低いかというと、kryoはより厚みがあり柔らかい(簡単に手でちぎれる程度)サーマルパッドを使用しており、高さの差を埋められる為に放熱効果が高く低温になっているのでしょう。固定方法がクリップのkryoに比べXPGのほうは粘着性の為か、かなり固めに感じます。

また、ネジ穴側はネジで固定されている分SSDヒートシンクが強く密着し、構造も比較的開放的なため放熱効果が高く低温で、端子側は固定用のフックが存在するもののあくまで脱落防止用のため、サーマルパッドに粘着効果はあるもののSSDヒートシンクが強く密着せず、通気性の悪い構造のため放熱効果が低くなっており、このような高温になっていることも考えられます。
しかし、試しに3M製の耐熱絶縁テープを使用して強く固定してみたものの、負荷をかけて1℃たりと違わぬ結果となったので、サーマルパッドが変わらない限り固定方法を見直しても改善しなさそうではあります。
サーマルパッドを剥がしてクマシート辺りに貼り替えれば改善するかな?

まあNANDチップの冷え具合を見るに高い冷却性は秘めているでしょう。

繰り返しますが、これはあくまで私個人の推測です。

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