USB PD対応チャージャーでmicroUSB機器を充電するとどうなる?

目次

 

まえがき

時代はUSB Type-C、そんな感じになってきたこの頃ですが、そうは言ってもmicroUSBポートを持つ機器はまだまだ現役です。
しかし、例えばQuick Chargeで揃えていた充電器類を買い換えるとなった時に、あまり長く使わない可能性のあるQCより、USB PD環境のほうが多用途ではあるのでPDで更新していくことにしました。
(Type-CでもQCが使える製品は多いですが、最近QC環境でトラブルが出たので敬遠したかったのもあります。)

 

とはいえmicroUSB機器でType-Cポートを利用するのは一般的ではないですし、基本は5V2Aもあれば十分だろうとStandard-Aポートを利用するつもりでしたが、ここで疑問が浮かびました。

Type-CポートでmicroUSBデバイスを充電するとどうなるの?

普段は暇つぶしでType-Cの仕様についてよく調べているような僕ですが、実機でテストしたことはありませんでした。
そこで、充電器に加えこの疑問を解消するために必要な製品も購入してテストしてみました。


なお、このブログの内容通りの動作になるという保証はいたしかねます。
また、内容について間違いがありましたらコメント等をいただければ幸いです。

 

検証機材 

チャージャー
Anker PowerPort I PD

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30WまでのUSB PD対応Type-Cポート x1と、PowerIQ対応Standard-Aポート x4の計5ポートを持つ充電器です。まだ発売されて日が浅いですが、同機能のPowerPort+ 5が2年以上前に発売されていて基本的には同じものでしょうし大丈夫かなと。というか筐体をコストカットしただけか?

 

ケーブル

サンワサプライ USB2.0 TypeC - microBケーブル 2m KU-CMCBP320

サンワサプライ USB2.0 TypeC - microBケーブル 2m KU-CMCBP320

  • 発売日: 2017/04/01
  • メディア: Personal Computers

Type-C to Micro-Bケーブルなので、Type-CポートからmicroUSB機器を直接充電できます。
USB Type-Cケーブルは結線や抵抗の仕様で悪い噂も聞きますし、USB IFによる認証を受けた製品を選びました。
Type-CプラグA1,B1,A12,B12の各ピンとA5ピン間に5.1kΩ抵抗が使用されているだけの仕様通りなケーブルであることが確認済みです。

 

スマートフォン
Samsung Galaxy S7 edge SC-02H
USB Micro-B端子を搭載しQuick Charge 2.0に対応していますが、今回はQC関係ないですね。

 

USB Type-Cテスター 

双方向の給電に対応していてUSB PDでも問題なく使えるようだったのでこれに。まあ今回はPD関係ないですが。あと欲を言えば積算電力とか表示できれば良かったけど。

 

 

テスト

前項で紹介した機器を以下の順で接続して検証します。

  1. PowerPort I PD
  2. USB-C 電圧・電流チェッカー
  3. USBケーブル
  4. Galaxy S7 edge

 

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測定結果は5.07V 1.67Aでした。

このテストを行う前にUSB Type-Cの仕様書を読んだりして、今回の場合USBによるバッテリー充電の標準規格USB BC(Battery Charging)の規格値1.5Aになるであろうという予測を立てていましたが、この1.67Aという値がそれであると断言するには少し高い気がします。

そこで、AnkerにType-Cポートの仕様について確認したのですが、返答としては「Type-CポートにType-C以外の機器を接続した場合はUSB BC1.2準拠で最大1.5Aの出力になる」という回答でした。
テスターの数値を信じるならば1割以上高出力と言えますが、これは規格の範囲内なのだろうか。

 

ちなみに、現在のところ一方がType-Cでもう一方がStandard-A(Type-A)やMicro-Bといったレガシー規格(miniUSB除く)のUSBケーブルでは標準の給電規格としては1.5Aが最大ですが、標準規格によらない給電規格も考慮して、USB IFによる認証を受けるには3Aに対応している必要がありますので、多少超える程度でしたらケーブルについては問題はないでしょう。
(規格上1.5Aまでとなっているのに「3A対応」を謳って販売しているケーブルを問題視する動きもありますが、前述の通りUSB IFはケーブルを3A対応で作りましょうと言っている訳で、1.5A対応と表記するのもそれはそれで問題でしょうし、この辺りは難しいところですね。)

 

今回はUSB BC規格準拠のType-Cチャージャーのためこの結果となりましたが、一部のType-CチャージャーにはUSB BC非対応のものがあります。この場合、規格上はType-CポートがUSB3.xであれば900mA、USB2.0であれば500mAとなることが予想できますが、実際に試していないので何とも言えませんね。

 

 

追加で現在使用しているモバイルバッテリーへの充電についても計測してみました。この項はスキップできます

 

  • 5.09V 1.28A:SONY CP-R10
  • 5.09V 1.28A:SONY CP-F10LA

 

どちらも仕様はINPUT:5V 1.5Aですが、結果としてはどちらも同じで少し低めの数値となりました。SONY以外の製品でも検証できればよかったですが、SONY以外にmicroUSBポートを持つモバイルバッテリーを使っていなかったのでとりあえず2製品で。

ちなみに、後者については充電器に接続されている場合にスマートフォン等を先に充電し、充電完了後にモバイルバッテリー本体に充電するというチャージスルー機能を搭載しているので、2ポートあるUSBポートから給電しながらの数値も計測してみました。

給電先の機器別の数値です。

  • 5.09V 0.87A:Galaxy S7 edge
  • 5.09V 0.83A:CP-R10
  • 5.07V 1.35A:Galaxy S7 edge + CP-R10

 

信号をスルーする仕様ではないのもあり、Type-Cポートに直接繋いだ場合より充電速度は低下しています。
2機器へ同時に給電している際には1.28Aを超えているので、仕様としてはそれ以上を要求できるものの、バッテリー充電時には1.28A超を必要としていないのでしょう。

このモバイルバッテリーの検証については、1.5Aに達していないのはモバイルバッテリー側の仕様とみられるので載せようか迷いましたが、USB BC準拠の動作をしていると確認するための情報は多いほうが良いかと思い載せました。


      長々と参考になるか分からない文章が続きましたが、Anker PowerPort I PDを使用した場合の私の見解は
Type-CポートからmicroUSB機器を充電するとUSB BC1.2準拠のUSB Standard-Aポートと同じ動作になる
です。

もっとテキトーに言ってしまえば、

最大出力1.5Aの充電器になる

でしょうか。
まだ個人的に納得できていない部分もあるので、今後も検証は続けたいと思います。

 

 

まとめ

USB PD対応チャージャーのType-CポートでmicroUSB機器を充電する場合、機器により多少の誤差はありますが、双方の機器がUSB BC対応であれば5V 1.5A付近で給電されるという結果になりました。
基本的にはこのような使い方をする必要性はありませんが、今後Type-CポートのみのチャージャーやPC、モバイルバッテリーを使用する際などに参考になればと思います。